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いいこと探検家の人生冒険ポジティブ日記

いいこと探検家の人生冒険ポジティブ日記

第3章:オゾン層の破壊



第3章 オゾン層の破壊




■オゾン層破壊の影響はすでに現れている



最近、世界で皮膚ガンが急増しています。

特にメラノーマ(悪性黒色腫)という非常に死亡率が高い
腫瘍が急増していて、大変深刻な問題になっています。

オーストラリアでは、7年間で皮膚ガンによる死亡率が2倍
に増えています。

日本でも「メラノーマが18年間に7倍増えている」という
報告があります。

動物にも異変が見られます。

身近なところでは、カエルがいなくなってきました。

これらは、オゾン層破壊に伴う有害紫外線の増加が大きな
原因の一つと言われています。




■オゾン層とは?



◆オゾンとは?



オゾン層は、私たちの地球の上空20キロから25キロくらいの
ところに5キロくらいの幅で広がっています。

太陽からの強い紫外線を吸収し、私たちを有害な紫外線から
守ってくれています。


オゾン層のオゾンは、大気中の酸素が太陽からの強い紫外線
を浴びることによって発生します。


オゾンは、オゾン浴などで健康に良いというイメージがあり
ますが、これはごく微量の場合で、それ自体は猛毒です。

ところがこの猛毒であるオゾンが上空にあるときは、地球上
の生物を守ってくれるのです。


オゾンは、地上にあるときは猛毒で光化学スモッグなどの
原因となり、上空にあるときは生物を守ってくれるという
わけです。



◆オゾン層破壊と紫外線



オゾン層が全部なくなると、陸上の生物は何も生きていけ
ません。

しかし今すぐには、そういうことは起こらないでしょう。


したがって、

「オゾン層が薄くなるとどうなるか?」

が当面の問題です。


研究の結果分かったことは、オゾン層が薄くなると紫外線
が増えるということです。


ただ、この紫外線というのは、オゾン層の破壊が始まる前
とは違うものです。


私たちが

「子どもは真っ黒のほうが健康的だ」

とか

「ビタミンDができるよ」

と言っているのは、実は紫外線Aのことなのです。


紫外線はA、B、Cの3種類ありますが、AよりもB、
BよりもCの方が生物にとっては危険です。

紫外線Cに長く浴びてると、生物は死んでしまいます。


このうち紫外線Cは、地球の40キロ以上の上空で大気に
吸収し尽くされて、現在のところ地上には届いていません。


オゾン層が破壊されて降り注いでくる有害紫外線という
のは、紫外線Bのことなのです。


オゾン層が薄くなる前は、紫外線Bはオゾン層を通るうちに
吸収されて、ほとんど地上に届いていませんでした。


しかし近年、オゾン層が薄くなったために、紫外線Bの一部
が地上に届きはじめたのです。



◆オゾン層はレースのカーテン



地球は46億年前に誕生しました。


35億年前に海の中で最初の生命が誕生し、進化していき
ました。

やがて光合成の機能を持つらん藻類が現れ、大気中の二酸化
炭素を酸素に変えていきました。


酸素が増えていく過程で、海で進化した生き物は陸に上が
ろうとしたのですが、太陽からの紫外線が強すぎて、どう
しても上陸できませんでした。

しかし現在の状態に近い酸素の濃度になったとき、オゾン
層が十分な厚さになり、強烈な紫外線が地上に届かなく
なったのです。

4億年前のことです。


そして生命が上陸して、進化してきたわけです。


だから、オゾン層がなくなれば、陸上には何も棲めなく
なるのです。

4億年前の状態に戻るというわけです。



さて、オゾン層は5キロの幅で広がっていると説明しま
したが、20キロから25キロ上空といえば、ものすごく
空気が薄くて、圧力も非常に低いのです。


実は、このオゾン層を大気圧に換算すると、わずか3ミリ
にすぎません。

たった3ミリで地球の生命を守ってくれているのです。


ちなみに、地球の空気がすべて大気圧だったとしたら
8キロつまり800万ミリの厚みになります。

3ミリといえば800万ミリの270万分の1。

何と空気の270万分の1の成分が、地球の生物を守って
いることになるのです。


このようにオゾン層は非常に薄いので、

「レースのカーテン」

と呼ばれています。



■オゾン層破壊とその影響



◆南極にオゾンホールが出現



1985年に南極でオゾンホールが発見されました。

オゾンホールというのは、オゾン量が平年値の半分以下に
なった状態を言います。

しかも、その後の観測で毎年どんどん大きく広がってきて
いることが分かってきました。

毎年春先から初夏にかけてオゾンホールが発生し、ここ数年
その面積が、南極大陸の2倍ほどになっています。


実はオゾン層破壊は、日本付近でも深刻になってきているの
です。

気象庁は、「北海道で10年間で3%の割合でオゾンが減少し、
1997年までの38年間におよそ12%のオゾンが失われた」
と発表しています。


全球的なオゾン全量は、1980年以前(1964-1980年
の平均)に比べて少ない状態が続いており、特に高緯度域の
春季において著しく減少しています。

日本上空でも、札幌、つくば及び鹿児島において長期的な減少
傾向が見られ、その傾向は札幌において最も大きくなっています。 

2003年の南極域上空のオゾンホールは、例年よりも発達時期
が早く、オゾン欠損量(破壊量)は過去最大、面積は過去2位
でした。

近年の状況を見ると、オゾンホールの規模は、やや鈍化した
ものの長期的には依然として拡大の傾向が続いており、南極域
のオゾン層は深刻な状況にあります。




◆オゾン層の破壊、北半球でも破壊顕著
  


成層圏の気温が下がるとオゾン破壊が進みます。

二酸化炭素などの温室効果ガスは地表付近の気温は上げる
一方で、成層圏では逆に気温を下げる作用があることから、
オゾン破壊の規模拡大について地球温暖化との関連性が
指摘されています。



少し古いデータですが、成層圏のオゾン層を破壊する
フロンなどの影響で、北極上空で形成されたオゾン濃度
の低い空気の塊が北日本上空に流れ込み、北海道などで
はオゾン濃度が大幅に低下する場合があることが、国立
環境研究所と名古屋大の研究グループの観測で明らかに
なりました。


研究グループは1996年と1997年の2回にわたり、
北海道幌加内町の名古屋大の観測所で気球を使って上空
のオゾン濃度を観測しました。

その結果、1996年は4月14日から25日にかけて、
高度20キロ以下の地点でオゾン濃度が通常より30%
以上低下したことを確認しました。

そして97年も5月12日に同様の現象が起こっている
ことを突き止めたのです。


気象データの解析結果からこれらの日には、北極上空に
あった極渦(きょくうず)の形が変わって先端が南下し、
日本の北半分を広くおおっていたことが分かりました。


南極や北極では、極渦という外部との大気のやり取りが
少ない空気の渦の中で、フロンから放出された塩素との
反応でオゾンが破壊され、オゾンの濃度が低い大気の塊
が生じます。

研究グループは、

「北極の極渦は南極に比べて不安定なため、南極のような
オゾンホールにまでは発展しない半面、形が変化して南下
したり、断片がちぎれたりして、日本を含む中緯度地域
上空でもオゾン濃度が低下するケースがある。
今回、北海道上空でオゾン濃度が低下したのもこのためと
考えられる」

としています。


ただし近年、北半球でもオゾンホール(もどき)が出現して
いるのです。

たとえば、北極、チベット、スカンジナビア半島上空など
です。


これは次の2つの理由によって、オゾン層付近の温度が低下
し、南極と同じような条件がつくり出されるためと考えられ
ます。


1.

オゾンが破壊されることで紫外線の吸収量が減って、
オゾン層付近の温度が下がる。

2.

地球温暖化は地表付近の気温も上昇させる一方で、成層
圏(オゾン層付近)の温度を低下させる。


なお、NASAは、「1997年4月8日に北極圏のオゾンが
40%減少していた」と発表しています。

また2001年には、カナダの北極圏の上空のオゾン層が
短期間で20%減少し、北シベリア上空のオゾン層は3月
初めに30%減少しました。

さらに、人口が密集したヨーロッパの広い地域で10~12%
の減少が測定され、北アメリカにおいて6~10%の減少が
記録されています。



◆紫外線Bの影響



1.皮膚ガンが増加する



紫外線Bは、生物のDNAつまり遺伝子の本体を傷つけ
ます。

本章の冒頭で、世界中で皮膚ガンが増加していると述べ
ましたが、その原因はオゾン層破壊に伴う紫外線Bの
増加なのです。


一般に、オゾン層が1%減少すると紫外線Bが2%増加
し、皮膚ガンや白内障などの影響が3%増えると言われ
ています。

1・2・3ルールと覚えておくと良いでしょう。


皮膚ガンは、オーストラリアとか白人の話だと思っている
人が多いようです。

しかし、いまの日本でも危険な状態にあり、皮膚ガン患者
が急増しているのです。

神戸大学医学部は、

「1976~80年と86~90年の各5年間を比べると、
後の5年間の方が皮膚ガンにかかる率が高くなっていた」

と発表しました。

松山市では2.5倍にもなっていたのです。

ただし後の5年間といっても86~90年のことで、すでに
それから15年がたっています。


現在では、当時よりも紫外線Bの量が増えているので、皮膚
ガンの患者がさらに増加している可能性があります。


大阪大学医学部の発表によると、

「日本でも、真夏の昼間に相当する日光に1時間さらされる
と、約2年間で皮膚ガンになる可能性がある」

ということです。



2.白内障患者が増える



紫外線Bの影響の2番目は、目に当たると白内障を起こす
ということです。

UNEP(国連環境計画)は、

「10%オゾンの減少が続くと、皮膚ガンは26%増えて、
白内障による失明が毎年世界で160万人から175万人
増える」

と発表しています。


日本上空でも、すでにオゾン層が10%くらい減っている
と言われています。

これを1・2・3ルールに当てはめてみると、

「オゾン層が10%減少することで、紫外線Bが20%増加
し、皮膚ガンや白内障などの影響が30%増える」

ということになります。



3.免疫力が低下する



これからもっと大きな問題になると思うのが、紫外線Bが
免疫力を低下させるということです。

免疫力が低下すると、病気に感染しやすくなるし、いったん
感染するとなかなか治りません。

しかも、ウイルスを持っている細胞に紫外線を当てると、
ウイルスが活性化する現象が見つかっています。

「HIVウイルスの感染者が、紫外線に当たることによって
エイズを発症する」

という報告も出されているほどです。


今後は、外で真っ黒になって遊んでいる子どもほど紫外線B
の影響を受けて免疫力が低下し、O-157などに感染しや
すくなるかもしれません。



4.動物への影響



当然のことながら、人間以外にも深刻な影響が現れています。


先に「カエルがいなくなってきた」と述べましたが、直射
日光にさらされる場所に卵を産み付ける種類のカエルが
いなくなってきているのです。

一方、アマガエルのように、直射日光に当たらない木の陰か
深い水底に卵を産み付けるカエルは減っていないようです。


このことをもとにオレゴン州立大学が実験したところ、

「カエルがいなくなったのは、卵が紫外線Bを大量に浴びて
ふ化しなかったから」

という結果が出たのです。


またオーストラリアなどで、木に激突したり、崖から
落ちて死ぬカンガルーが続出しています。

さらに南米チリやニュージーランドでも、牛やヒツジに
同じような異変が増えています。

紫外線Bの影響で目が見えなくなっているのです。




5.植物や野菜の収穫が減る



植物も野菜も紫外線Bの影響は大きいといえます。

成長細胞に紫外線Bが当たると、穀物などの収穫が減少
する可能性があります。



6.海への影響


紫外線Bが増えると、魚介類が海の中から姿を消してしまう
可能性があります。

すでに植物性プランクトンが激減し始めています。

オゾン層が薄くなる前は、紫外線Aしか植物性プランクトン
に当たっていなかったのですが、最近は紫外線Bが当たり
だしました。

そのためにDNAが傷つき、どんどん死滅しています。


そして食物連鎖が切れ、魚介類が減りつつあるのです。



■オゾン層破壊の原因



◆フロンとは?



オゾン層の破壊の直接原因は、フロンという化学物質です。

フロンというのは実は日本語で、正式にはCFC(シーエフシー)
と言います。

CFCとは、クロロフルオロカーボンの略です。

クロロは塩素、フルオロはフッ素、カーボンは炭素のことです。


フロンは、空気中に排出しても分解せずに長期間地上付近に
漂い続けます。




◆オゾン層破壊のメカニズム



フロンがオゾン層に到達すると、大気中をさまよっていた時
とは比べものにならないくらい強烈な紫外線を浴びることに
なります。

フロンは地上にあるときは、非常に安定で分解することは
ありません。

しかしこんな安定なフロンでも、オゾン層付近の紫外線を
浴びると分解してしまうのです。


さて、ここからがポイントです。


普通の化学反応は、2つの物質が反応して1つの物質ができる
とか、せいぜい3つの物質から2つの物質ができる程度のもの
です。

ところが、フロンの分解によって塩素という原子が飛び出し、
この塩素原子が連鎖反応で次々にオゾンを破壊してしまうの
です。


塩素原子がオゾンを破壊する→再び塩素原子が飛び出す→別の
オゾンにとりつき破壊する→またまた塩素原子が飛び出す→
そして、またまた別のオゾンを破壊する。

こんなイメージです。

こうして1個のフロンが大量のオゾンを破壊してしまうのです。




◆フロン1個でオゾン10万個を破壊!



フロンは100種類くらいありますが、1個で10万もの
オゾンを破壊するものがあることが分かっています。

これは、ひとりの単身赴任者がやってきただけで、10万人
の都市が全滅してしまうほどの破壊力です。

東京都でさえ、全滅させるのに100人程度で十分なのです。


このことが世界中に知れ渡り、しかもオゾンホールが年々
大きくなったきました。


そこで、とうとう世界的に規制されて、CFCが製造できなく
なったのです。

具体的に言うと、1995年の末をもって15種類のCFC
が全廃されました。

同時に、四塩化炭素とトリクロロエタンという塩素系の有機
化学物質が、CFCと同じくらいオゾン層を破壊するとして
全廃されました。


また、塩素の代わりに臭素がくっついた3種類のハロンという
化学物質は、フロンよりもオゾン層破壊の力が3~10倍も
大きいこともあって、1994年に全廃されています。



◆フロンの用途



ところで、フロンというのはオゾンとは正反対で、陸上では
毒性が極めて低いのです。

人間が飲んでも害はないし、物を腐らせたり、錆させたりも
しません。

そのために、重宝されていろいろな用途に使われてきました。


フロンは大きく分けると、次の3つの用途で使われてきました。


1.冷やす

冷媒として、つまり冷やす働きをするものとして、冷蔵庫を
はじめエアコン、カーエアコン、ジュースやビールの自動
販売機に使われています。


2.発泡させる(断熱する)

すぐに気化する性質を利用して、スプレー(エアゾール)や、
発泡ウレタンとか発泡スチロールに使われています。

この発泡ウレタンや発泡スチロールは、断熱材として使われ
ています。

フロンというのは熱を伝えにくい性質があるので、冷蔵庫や
自販機などの断熱材の中に入っているのです。


3.洗浄する

洗浄剤として、ICなどの電子部品や精密機械などの洗浄に、
そしてドライクリーニングにも使われてきました。


このように、フロンは人間の生活にとってなくてはならない
ものとなっていました。

しかし、どんどん捨てられて、オゾン層を破壊するように
なってしまいました。


フロンが問題になるのは、使っているときよりも、捨てら
れた後なのです。



◆代替フロン



1.代替フロンHCFC


CFCがオゾンを破壊するのは、

「CFCが非常に安定なため、大気中(正確には対流圏)で
分解することなくオゾン層に到達してしまう」
からです。

だとすると、オゾン層に到達する前に分解してしまえば
いいわけです。

そのように考えてできたのが、代替フロンHCFCです。

しかし、10分の1くらいがオゾン層に届いてオゾンを破壊
することが判明し、この代替フロンHCFCも2020年に
実質全廃が決まっているのです。

しかもHCHCは、温暖化の力が二酸化炭素の4000倍も
あるものが存在することが分かっているので、どんどん全廃
時期が速まっています。


2.代替フロンHFC


オゾン層破壊の原因は、フロンの中の塩素でした。

つまり、塩素が入っていなければオゾン層は破壊されない
はずです。

そこで、化学者は塩素のないフロンを作ろうと考え、その
結果生まれたのがHFCという代替フロンです。

これはHCFCから最初のCつまり塩素をなくしたもの
なのです。


以前、電気屋さんで多く見かけた自称「地球にやさしい冷蔵
庫」のカタログに「HFC-134a使用」と書かれていま
した。

HFC-134aは、塩素の入ってないフロンの1種なの
です。


確かに、HFCは塩素が含まれていないのでオゾン層を
破壊しません。

ところがこの物質も、

「地球温暖化の力が二酸化炭素の3000倍以上もある」

ことが分かったのです。

そして、濃度は薄いものの、最終的にはフッ酸という酸性雨
として降ってくることが考えられます。

このため、HFCも温室効果ガスとして指定されるなど、
次第に使用が制限されつつあります。



■オゾン層はこれからどうなる?



◆オゾン層破壊は予測されていた



実は、前もってオゾン層破壊を警告していた科学者がいるの
です。

アメリカのローランド博士とモリーナ博士という2人の科学
者が、1974年に警告を出していました。

「このままフロンを捨て続けると10年後にオゾン層に穴が
あく、20年後に人体に被害が出る、30年後に取り返しの
つかないことになる」という内容でした。

しかし当時は、ほとんど無視されて、迫害に近い状態だった
そうです。


このようなことは、歴史的に見てよく起こるようです。

たとえば、レイチェルカーソンという人はその典型です。

40年以上も前(1962年)に、彼女は『沈黙の春』という
本を書きました。

「農薬を使うと、その影響でやがて春が来ても鳥が鳴かない
沈黙の春が来る」という内容でした。

非常に科学的で洞察力にあふれるものだったのですが、
まったく無視されて、失意のまま彼女は翌年に亡くなって
しまったのです。

そして、いま頃になって彼女の評価が高まってきています。


環境ホルモンの問題も、彼女の警告を真摯に受けとめていれ
ば、回避できた可能性が大きいのです。


ローランド博士らも、彼女と同じように無視されましたが、
ねばり強い活動を重ねました。

そしてとうとう特定フロンの全廃を果たし、1995年度の
ノーベル化学賞受賞へとつながったのです。




◆オゾン層破壊はますます進む



実は、いまここで放出したフロンがオゾン層にたどり着く
のに、平均15年以上もかかるのです。

ということは、現在起こっているオゾン層の破壊は、
15年前に放出したフロンの影響ということになります。

15年前までに放出されたフロンの割合は、全生産量の
十数%にすぎません。

その十数%で南極の2倍もあるようなオゾンホールを作っ
たり、北半球のオゾン層破壊をもたらしているのです。


15年前から現在までに「大気中に放出された」フロンの
割合は、80%以上もあります。

実に8割のフロンがすでに放出されてしまったのです。

そして残り10%足らずのフロンが、冷蔵庫、自動販売機、
カーエアコンの中に残っています。

8割以上のフロンが放出されてしまっているので、これから
しばらくはオゾン層破壊がますます続くでしょう。

たとえ、残り10%のフロンを放出しなくなったとしても、
しばらくはオゾン層破壊が続き、きわめて深刻な事態となる
と言われています。


NASAは、

「オゾン層破壊のピークは2010~2019年で、そのとき
最大でオゾン層が3分の2も破壊される」

と予想しているのです。




◆オゾン層は復活する!



オゾン層を人間の力で修復することは、少なくとも現在の
技術では不可能です。

ロケットでオゾンを運んでも、ロケット自体の影響で、
より多くのオゾンが破壊されてしまいます。


地上でオゾンを発生させることは、さらに大変なことに
なります。

オゾンは空気よりも重く、地上の生命体にとっては猛毒
だからです。

ごく微量な場合にのみ、オゾン浴などが可能になるのです。




しかし、落胆する必要はありません。


最も安上がりで、しかも莫大なオゾンを製造する
手段を自然が用意してくれています。

それは太陽と空気中の酸素です。


太陽がある限り、また大気中に酸素がある限りオゾンは
常につくられています。

いまは、壊れるオゾンの方がつくられるものより多いので、
結果として破壊が進んでいるのです。

しかし大気中のフロンが減ってくると、つくられるオゾン
の方が多くなり、オゾン層は修復に向かいます。

21世紀中頃から22世紀になるまでには、オゾン層が
復活するでしょう。

ただし、いま持ってる10%を放出してしまうと、復活の
時がさらに延びて、そのときには本当に手遅れになるかも
しれません。


しつこいようですが、いま手元にあるフロンを絶対に放出
してはならないのです。



◆紫外線Bから身を守るために



多くの先進国では、直射日光に当たらないよう様々な呼び
かけをしています。

いくつか紹介してみましょう。


1.バーンタイム・テンミニッツ!


新聞やテレビの天気予報で「今日の紫外線情報」が発表されます。

バーンタイムという言葉があります。

バーンタイムというのは、簡単に言うと「これ以上、直射日光に
当たると危険な時間」のことです。

バーンタイム・テンミニッツというと、「10分間以上、直射
日光に当たると危険ですよ」という意味です。

オーストラリア、カナダ、ヨーロッパなどでは、このような情報
を天気予報などで警告しています。

10分というのはいかにも短すぎるように思うかも知れませんが、
日本でも夏の快晴時にはそれくらいか、もっと短くなるのです。

曇ってるときでも夏は1時間以内です。

小学校などで夏の日中に体育や水泳の授業がありますが、子ども
の健康を考えれば、朝の1時間目とか夕方の6時間目にすべき
なのです。



★日本でも紫外線情報!



以前にこの日記で書きましたが、日本でもようやく気象庁が
紫外線情報の発表を開始しました。


長年待ち望んだことですので、嬉しいですね。



具体的には、下記の情報をご覧ください。



『紫外線情報』


UVインデックスとは?



皮膚ガン、白内障、免疫低下など、紫外線による疾病が
減少することを祈っています。




2.スリップ、スロップ、スラップ&ラップ



スリップ、スロップ、スラップ&ラップというのは、紫外線から
身を守るためのスローガンです。

オーストラリアで始まりましたが、いまでは多くの国で使われて
います。


【スリップ】

すばやく長そでのシャツを着なさい。もちろん夏でもです。

【スロップ】

日焼け止めローションを塗りなさい。ただし、顔を洗ったり、
泳いだりしたときに水を汚してしまうので、塗りすぎないよう
に注意しましょう。

【スラップ】

首すじなども隠れるような帽子をかぶりなさい。

【ラップ】 

サングラスをかけなさい。


こんなかっこうで夏でも歩きなさいというわけです。


実際にオーストラリアの幼稚園では、園児がまるでちびっ子
ギャングのような姿で通学しているのです。

また、オーストラリアのブリスベーンという町で市長選挙が
あった際、「市内の公園すべてに太陽光線を90%シャット
アウトする布製の屋根を取り付け、子どもたちを直射日光
から守る」と公約した現市長が再選されたのです。

そのほかのスローガンとして、

「直射日光の強い日には、子どもを外に出さないように」

とか

「ノーハット、ノープレイ!(帽子をかぶっていないと外で
遊んではいけません)」

というのがあります。

このようなことは、日本以外の先進国ではもはや常識なのです。


日本では、オーストラリアと同じ危険性があるにも関わらず、
真夏でも子どもが真っ黒に日焼けして走り回っているし、
乳母車に乗った赤ちゃんが日向ぼっこをしています。


知らないということはホントに怖いことですね。



■私たちにできること




◆ストップフロンを超えて!



フロンを使用しないようにしたり、フロン回収を推進する運動
を「脱フロン」とか「ストップフロン」と言います。


ここで、もう少し深く考えてみましょう。


フロンの用途は、冷やすこと、発泡すること(断熱すること)、
洗浄することでした。

この用途のすべてでフロンが使えなくなったので、代替フロン
が開発されました。

そして代替フロンが使えなくなることが確実になり、液化ガス
などが使われるようになりました。


ところで、液化ガスは重油を精製して作られます。


しかし、この精製するときのエネルギーは石油を燃やして得て
います。

その際に、地球温暖化を起こす二酸化炭素が発生してしまい、
同時に石油という資源も消えていくのです。


つまり地球規模で考えると、単にフロンを使わないだけではな
く、液化ガスなどほかの物質も使わないことが大切なのです。


例えば、洗浄にフロンを使っていて、それが使えなくなったら
代替フロンを使い、そして石油系の溶剤を使い、そして純度の
高い水を使う・・・・こんなことをしていたらキリがありません。


そこで、「洗浄って必要なのかな?」ということから考え直す
のです。


洗浄する必要がなければ、フロンも石油系の溶剤も水も必要
ありません。


同じように、

「冷やす必要があるのだろうか?」

とか

「断熱する必要があるのだろうか?」

と考えてみる必要があるのです。


もしそのようなことができたら、オゾン層破壊、地球温暖化、
酸性雨、エネルギー問題、資源問題などを同時に解決すること
も夢ではありません。


それぞれの環境問題を個別に知ることもいいことですが、全体
を見るのはもっと大切です。

ぜひ、こういう発想を持ち続けたいものですね。


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